鼠径ヘルニア(そけいヘルニア)いわゆる脱腸の症状、病気の危険性、治療について解説します!

鼠径ヘルニア(そけいヘルニア)いわゆる脱腸を日帰り手術で治療している「岡山そけいヘルニア日帰り手術 Gi外科クリニック」の池田義博です。盲腸(虫垂炎)や癌などと比較すると、世間での認知度が低い鼠径ヘルニア。鼠径ヘルニアという病気をもっと多くの方に正しくしってほしいとの考えのもと、鼠径ヘルニアに関するブログ「院長ブログ 解説!鼠径(そけい)ヘルニア」を開設することにしました。
初回となる今回は鼠径ヘルニアとは「そもそもどのような病気なのか」という視点で、鼠径ヘルニアの概要について解説します。

鼠径ヘルニア(そけいヘルニア)は脱腸と呼ばれる病気です

鼠径ヘルニア(そけいヘルニア)と言われると一般の方にはなじみがないかもしれませんが、世間一般では「脱腸」と呼ばれる病気です。病名に含まれる「鼠径」とは左右の大腿部の付け根、足の付け根の部分を指します。また「ヘルニア」とは、体の組織が正しい位置からはみ出した状態を指します。まとめると、「鼠径ヘルニア」とは足の付け根の部分の鼠経部に、本来はお腹のなかにあるべき腸がはみ出てしまう状態をいいます。
腸がはみ出てしまう状態ということで、鼠径ヘルニアのことを世間一般では「脱腸」と呼ぶわけですね。 

鼠径(そけい)部の位置
鼠径(そけい)部の位置

男性の3人に1人は一生涯で一度は鼠径ヘルニア(そけいヘルニア)を発症する可能性があります

一般的に鼠径ヘルニア(そけいヘルニア)いわゆる脱腸というと、子供がなる病気の印象を受けるかもしれません。しかしながら、鼠径ヘルニアの患者さんの65%は50歳以上の方です。そして、中年以上の男性に多く見られ、男性の3人に1人は一生涯で一度は発症する可能性があります。そのなかでも、立ち仕事や力仕事をしている方や肥満気味の方に多いと言われています。
鼠径ヘルニアの治療は手術で行われますが、実は日本全国の1年間に行われる消化器外科手術の件数は鼠径ヘルニアが第一位です。テレビなど各メディアでよく取り上げられ、皆さんがよく御存知な盲腸(虫垂炎)、胆石、そして癌(胃癌、大腸癌など)よりも鼠径ヘルニアは多くの方が発症する病気です。国内では年間約40~50万人が発症すると報告されています。 

鼠径ヘルニア(そけいヘルニア)は加齢による鼠径部の筋膜、筋肉の衰えから発症する

本来はお腹のなかにある腸が、なぜはみ出て外へ飛び出してくるのでしょうか。主な原因は、加齢によって内臓や組織を支えている腹壁(筋肉と筋膜)が衰えることにあります。足の付け根周辺には筒状の鼠径管(そけいかん)が、腹壁をつらぬくように通っています。鼠径管は、男性では睾丸(精巣)とつながる血管や精管(精子を運ぶ管)を、また、女性では子宮を支えるじん帯を保護しています。加齢にともなって腹壁などが弱くなると、鼠径管や周辺の筋肉層にすき間ができてしまいます。そのような状態のときにお腹に力が入ると、すき間から腹膜(内臓が入っているうすい袋)が風船のように飛び出します。この風船の中を腸が出入りする状態が鼠径ヘルニア(そけいヘルニア)です。そのため、鼠径ヘルニアは立ち仕事や力仕事をしている方に多い病気でもあるわけです。
鼠径ヘルニアは、加齢によって内臓を支えている腹壁が衰えることから生じます。加齢が主な理由のため、鼠径ヘルニアはだれにでも起こりうる病気だと言えるわけですね。

鼠径ヘルニア(そけいヘルニア)の状態 
鼠径ヘルニア(そけいヘルニア)の状態

未治療の患者さんが多い鼠径ヘルニア(そけいヘルニア)ですが、放置すると危険な状態になる可能性があります

国内では年間約40~50万人が発症すると報告されており、多くの方が発症する鼠径ヘルニア(そけいヘルニア)ですが、国内の成人鼠径ヘルニアの年間治療件数は約16万件とされています。つまり、鼠径ヘルニアを発症された患者さんの32%しか治療を行っておらず、残りの68%の患者さんは治療を行っていないと考えられます。未治療の鼠径ヘルニアの患者さんが多い原因としては、「仕事等で多忙のため我慢している」、「鼠径ヘルニア(脱腸)に対して恥ずかしい病気のイメージがいまだにある」、「良性の病気であるため」、「何科を受信すればよいか不明」などが考えられます。
しかしながら、鼠径ヘルニアは放置しておくと危険性が高い病気です。日常生活に支障が出るだけでなく、時に命に危険が及ぶこともあります。その状態を「嵌頓(かんとん)」と言います。嵌頓とは鼠径部に飛び出た腸が筋肉でしめつけられ戻らなくなった状態を指します。腸が嵌頓を起こすと、腸の中を食べ物が流れていかなくなってしまい「腸閉塞」を起こします。また、しめつけられた腸に血液が流れなくなり、腸の組織が死んでしまい(壊死)、腸に穴が開きます(腸管穿孔)。その穴から腸の内容物(便汁)が漏れ出し、腹腔内(お腹の中)に広がります。そうなると腹膜に炎症が起こり、「腹膜炎」という病気に進行します。ここまでくると緊急手術が必要になり、対応が遅れると命に危険が及びます。 

命に危険が及ぶ可能性がある嵌頓(かんとん)状態
命に危険が及ぶ可能性がある嵌頓(かんとん)状態
鼠径ヘルニアを放置していると、この嵌頓になってしまう可能性があり、危険なわけですね。嵌頓はいつ起こるのか予想できないため、鼠径ヘルニアは早期治療が推奨されます。

このような症状ありませんか!?鼠径ヘルニア(そけいヘルニア)の症状

鼠径ヘルニア(そけいヘルニア)の主な症状は、立った時やおなかに力をいれたときに、足のつけ根(鼠径部)に柔らかいふくらみが出てきます。この状態だと、ふくらみは横になったり、手で押さえたりすると引っ込み、元の位置に戻ります。この段階では、痛みを感じないことが多いため軽く考えがちです。おそらく、鼠径ヘルニア(脱腸)だと気づかない人もいるでしょう。
患者さんが鼠径ヘルニア(脱腸)に気づく頃には痛みと、違和感を覚えるようになります。具体的な症状としては、「長時間立っているのが辛い」、「時々、鋭い痛みが走る」、「お腹が突っ張っている感じが常にする」などがあげられます。このような具体的症状が出てきてしまうと、日常生活にも支障が出てきてしまい、また嵌頓(かんとん)の危険性が高まります。嵌頓はいつ起こるか予想ができない危険な状態のため、鼠径ヘルニアは日常生活に支障が出る前の段階からの治療を推奨します。
鼠径ヘルニアの嵌頓(かんとん)の危険性を除去するため、初期症状の段階から治療を行うこと目的にGi外科クリニックでは「鼠径ヘルニア(そけいヘルニア)チェックシート」を作成しました。当院では、「鼠径ヘルニアチェックシート」を活用して、患者さんが鼠径ヘルニアの早期受診ができるよう取り組んでいます。
具体的には下記の症状がある方は、受診を推奨します。この症状があるため、鼠径ヘルニアとは断定できませんが、チェックが多く付けば付くほど、鼠径ヘルニアの可能性が高くなります。

<鼠径ヘルニア(そけいヘルニア)が疑われる症状> 
□足の付け根に柔らかい膨らみが出てくる (男性の場合は陰のうに症状が出る場合も)
□手で押し込んだり、横になると消えてしまう 
□なんとなく下腹部に違和感や不快感がある 
□下腹部にときどき刺し込むような痛みがある 
□お腹が張っているような感じがする 

いかがでしょうか。皆さんもぜひチェックしてみてください。
↓鼠径ヘルニア(そけいヘルニア)チェックシートは下記リンク先より、資料をご確認ください。 
↓鼠径ヘルニア(そけいヘルニア)チェックシートは下記リンク先より、資料をご確認ください。

鼠径ヘルニア(そけいヘルニア)は手術でしか根治できません

鼠径ヘルニア(そけいヘルニア)の治療法は「手術」です。薬や安静、保存療法といった治療方法で完治はできません。またヘルニアバンドや脱腸帯という圧迫する道具も市販されていますが、圧迫を解除すれば腸が再びはみ出てしまう状態(ヘルニア)に戻ります。つまり治療とはなりません。手術までのつなぎの役割です。 
鼠径ヘルニアの手術には大きく分けて二つ方法があります。皮膚を切開して治療を行う鼠径部切開法と、腹腔鏡を挿入して治療を行う腹腔鏡法です。
鼠径ヘルニアの手術方法の一つの鼠径部切開法は、足の付け根の鼠径部を5~6cmほど皮膚切開し、メッシュという人工の網を使い、腸がはみ出てしまう穴(ヘルニア門)を塞ぎます。使用する人工の網のメッシュの種類で術式が分かれています。多くの医療機関では、この方法を採用しています。

鼠径部切開法(足の付け根の鼠径部を5~6cmほど皮膚切開して治療します) 
鼠径部切開法
鼠径ヘルニアの手術方法の、もう一つは腹腔鏡を用いる腹腔鏡法です。腹腔鏡法は、お腹を大きく切らずに、下腹部に1 cm前後の皮膚切開を複数箇所行い、直径5~10 mmの内視鏡を挿入し、テレビモニター上に映し出された映像を見ながら手術を行う新しい術式です。したがって、腹腔鏡法は皮膚切開する部分が開腹手術よりも少なく、美容的にも優れ、手術後の疼痛も鼠径部切開法に比べ軽いのが特徴です。腹腔鏡法は、手術による身体へのダメージが少ないため、早期の社会復帰が可能と言われています。
鼠径ヘルニアの腹腔鏡法での治療が浸透した結果、当院のような手術当日に帰宅できる、鼠径ヘルニアの日帰り手術を提供する専門医療機関が誕生しています。

腹腔鏡法(下腹部に1 cm前後の皮膚切開を複数箇所行い治療します)
腹腔鏡法

Gi外科クリニックでは、より安全でより体へのダメージが少ない鼠径ヘルニア(そけいヘルニア)の治療を日帰りで提供しています

Gi外科クリニックは、鼠径ヘルニア(脱腸)の日帰り手術の専門クリニックです。安全で身体への負担が少ない鼠径ヘルニアの腹腔鏡法の手術方法を検討し、通常の腹腔鏡法をもう一段階進化させました。それが、お臍に1 cm前後の皮膚切開を行い、1カ所だけ穴をあけて手術を行う、“単孔式腹腔鏡下ヘルニア根治術(SILS-TEP法)”です。当院は、この方法を鼠径ヘルニアの患者さんに日帰り手術で提供するクリニックです。 

 単孔式腹腔鏡下ヘルニア根治術(SILS-TEP法) 
(お臍に1 cm前後の皮膚切開を行い、1カ所だけ穴をあけて治療を行います)
単孔式腹腔鏡下ヘルニア根治術
鼠径ヘルニアの患者さんを単孔式腹腔鏡下ヘルニア根治術(SILS-TEP法)で治療するメリットは、従来の腹腔鏡法よりも身体への負担が少ないことがあげられます。またお臍に1 cm前後の皮膚切開を行う手術方法のため、手術後の傷跡(手術痕)も目立ちません。
当院での鼠径ヘルニアの手術件数は2018年10月現在で1,300例を超え、近年では年間の鼠径ヘルニアの手術件数が平均400件以上となっています。 

鼠径ヘルニア(そけいヘルニア)を日帰り手術で治療します

皆さんは手術と聞くと大きい病院で数日入院というイメージを持たれると思います。しかしながら、近年、鼠径ヘルニア(そけいヘルニア)の治療において、手術や麻酔方法、医薬・医療機器の目覚ましい進歩により、当日に来院し、手術を受け、その日に帰宅できる文字通り「日帰り」の手術が可能になってきました。
 鼠径ヘルニアの治療を日帰りで受けるメリットとしては、「日常生活のリズムの中で手術を受けられる」、「医療費が安くなる」、「入院のわずらわしさがない」、「身体への負担が少ない」、「精神的負担が少ない」など多数あげられます。 
当院の鼠径ヘルニアの手術は全身麻酔で行います。そのため、手術中は全く意識も痛みもありません。目が覚めると手術は終わっています。手術後数時間を回復室で休んでいただき、帰宅基準を満たすと退院です。回復室の中で、飲み物や食事も摂ってもらえます。帰宅後は手術当日からシャワー浴も可能です。つまり、普段通りの日常生活を送っていただけます。
もちろん、すべての鼠径ヘルニアの患者さんが日帰り手術の対象になるとは限りませんが、鼠径ヘルニアを日帰り手術で治療することは患者さんにとって有益な治療と考えています。 

鼠径ヘルニア(そけいヘルニア)の啓蒙と早期治療を目指します!

毎年50万人に発症する鼠径ヘルニア(そけいヘルニア)いわゆる脱腸ですが、実際に鼠径ヘルニアの治療を受けている患者さんは年間16万人です。約7割の患者さんが鼠径ヘルニアの治療を受けられていない、もしくは受診すらできていない状況です。
鼠径ヘルニアは手術でしか根治できません。適切な時期に、適切な治療を受けなければ、嵌頓(かんとん)という命にかかわる状態に進行する危険性があります。いつ、誰に、どんな時に、嵌頓が起こるかは分かりません。

鼠径ヘルニアの患者さんや鼠径ヘルニアの疑いがある患者さん、また一般の方々に鼠径ヘルニアいわゆる脱腸を知っていただくため、今後、「院長ブログ 解説!鼠径(そけい)ヘルニア」を通じて、定期的に情報発信をしていきます!
次回以降は、今回お話しした鼠径ヘルニアの症状、病気の危険性、治療などを具体的に解説していきます。ご期待ください! 

岡山そけいヘルニア日帰り手術Gi外科クリニック 
院長 池田 義博 

ボクハダチョウ vol.1

Gicomic_vol.1

明けましておめでとうございます。

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新年あけましておめでとうございます。

年末年始は暖かい日が多く、例年より過ごしやすかった気がします。皆さん体調はいかがでしょうか?

201714日、本日より当院も仕事始めです。午前中はスタッフ一同で日本三大稲荷のひとつである最上稲荷に初詣に行ってきました。正月三箇日を過ぎてはいましたが、大勢の方がお参りに訪れていました。

スタッフ一同、患者さんにとって日常生活の犠牲を最小限となる医療を安全に提供できるよう祈願してきました。

今日から始まるGi2017年も、多くの患者さんの笑顔に繋がる日々になりますようスタッフ一同なお一層精進します。

今年もよろしくお願いいたします。

 

今年一年ありがとうございました。年末年始休暇のお知らせです。

集合2

  みなさんこんにちは。

 いよいよ2016年も残すところ4日となりました。

 みなさんにとってどんな一年だったでしょうか?

 2016年、当院では324名の鼠径ヘルニア患者さんに手術をさせて頂きました。7歳のお子さんから92歳の方まで、どの患者さんも笑顔でお帰り頂けました。

 術後半年の終診を迎えられた方々には、基本的にお会いすることは無いと考えていますが、全ての患者さんの日常生活の質の向上に少しでもお役に立てれていれば、スタッフ一同幸せです。

 さて、当院は今日で2016年の診療を終了します。2017年は14日午後から通常診療開始とさせて頂きます。2017年も患者さんの日常生活に寄り添った医療を提供できるよう、スタッフ一同、より一層精進します。

 今年一年ありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。

第11回関西ヘルニア研究会に参加しました!

関ヘル

みなさんこんにちは。

12月に入り、世間も何となくバタバタしている印象です。私自身も10月終盤から学会発表が立て続けとなり、慌ただしく時間が過ぎている今日この頃です。世間では既にクリスマスシーズンに突入し、華やかに彩られたイルミネーションが各地を賑わせているようですね。

 

さて、学会シーズンということで、10月末には日本ヘルニア学会学術集会、11月には日本臨床外科学会総会で当院の治療法や治療成績を発表してきました。

そして先週末は第11回関西ヘルニア研究会に特別講演として講演する機会を頂きました。多くの高名な諸先生方のいらっしゃる中で、開院1年半程しか経っていない私が講演させて頂くのは緊張もしましたがありがたいことでした。内容としては、当院が行っている単孔式腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術(SILS-TEP法)の工夫、日帰り手術の流れ、そして1年半の治療成績を発表しました。

日本で初めて腹腔鏡下のヘルニア手術を日帰り手術として提供してきた結果を多くの同業の先生方に評価して頂くことができました。今回お話をさせて頂いた先生方からの頂いた刺激をクリニックに持ち帰り、スタッフ一同で共有し、今後の診療に生かそうと思います。

 

今週後半には今年発表する学会のトリである、日本内視鏡外科学会総会が開催されます。学会参加で臨時休診が多くなっていましたが、その分しっかり勉強し、患者さんのメリットに繋がるよう精進します。

 

年末を迎え、寒さも厳しくなってくると思います。くれぐれもお身体にお気を付けください。