鼠径(そけい)ヘルニアという病気は、手術でしか治療できません。
ヘルニアバンドや脱腸帯などを使われる方もおられますが、これは圧迫して脱腸するのを防ぐのみで、その圧迫を解除すれば再び脱腸が発生します。手術までのつなぎの役割にしかならないということです。
では鼠径ヘルニアの治療である手術については、どのような方法があるのでしょうか?
今回は鼠径ヘルニアの治療について具体的にご紹介していきます。
早期の社会復帰を可能とする腹腔鏡(ふくくうきょう)法
鼠径ヘルニアの手術は、脱出した腸をお腹に戻す手術です。
脱出した腸をお腹に戻した後、医療用のメッシュで脱出口(原因となる筋肉のすき間)を覆います。
メッシュは長年手術で使用実績があり安全性が確立されたポリプロピレンという材質でできています。
鼠径ヘルニアの手術の術式は、大きく分けて2つ方法があります。
一つは鼠径(そけい)部を5~6cm切開をする鼠径部切開法です。もう一つは腹腔鏡を用いる腹腔鏡法です。腹腔鏡法は、手術による身体へのダメージが少ないため、早期の社会復帰が可能と言われています。
Gi外科クリニックでは、患者さんの身体へのダメージを考慮して腹腔鏡法を採用しています。
より安全でより身体への負担が少ない術式“単孔式腹腔鏡下鼠径ヘルニア根治術”
Gi外科クリニックが採用する腹腔鏡法においても、2種類の方法があります。
まず一つ目は腹腔内(お腹の中)に入り、腹膜(内臓を包む膜)を開けて腹壁を修復する方法(TAPP法)です。近年の報告(2013年)では、鼠径ヘルニアの腹腔鏡下手術の約75%はこの方法です。
二つ目は、腹腔内には入らず、腹腔外で腹壁を修復する方法(TEP法)です。TEP法は鼠径ヘルニアの腹腔鏡下手術の約25%となっています。
なお、通常の腹腔鏡下手術では3つの穴(1cm以下)を開けてカメラと専用の鉗子(かんし)類を用いて操作を行います。
Gi外科クリニックでは、より安全でより身体への負担が少ない術式を検討し、通常の腹腔鏡法をもう一段階進化させました。それが、お臍(へそ)の中に1カ所だけ穴をあけて手術を行う、“単孔式腹腔鏡下鼠径ヘルニア根治術(SILS-TEP法)”です。
手術は全身麻酔下で行いますので、眠っている間に、1時間程で終わります。
この術式ですと傷口が小さくて済むため、状態によりますが、手術後数時間で歩行ができ、翌日より家事・仕事が可能です。合併症がほとんどなく再発率の極めて低い治療法で、おへその傷は術後にはほとんど目立たなくなります。
患者さんの早期の社会復帰を目指すための治療
Gi外科クリニックでは、日帰り手術のみを提供します。
日帰り手術を可能とするには、低侵襲性(体へのダメージが少ないこと)と安全性がより一層担保される必要があると考えています。腹腔鏡下で行う鼠径ヘルニアの手術は低侵襲性から早期の社会復帰が可能と言われています。
そして、鼠径ヘルニアそのものが、腹壁が弱くなって発生する病気です。よって腹腔内操作(内臓に触れてしまうお腹の中での操作)を必要とせず、腹壁内のみの操作で弱くなった部分を含む腹壁を広く補強できる術式であるTEP法、そして、より低侵襲化を目指した“単孔式腹腔鏡下鼠径ヘルニア根治術(SILS-TEP法)”が患者さんの早期の社会復帰に最も適していると考えました。
Gi外科クリニックは、患者さんの早期の社会復帰を目指して“単孔式腹腔鏡下鼠径ヘルニア根治術(SILS-TEP法)”を日帰り手術として提供するクリニックです。
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