そけいヘルニアは、50歳以上の男性に多い病気です。また初期症状は「太ももの付け根の膨らみ」です。
患者さんが気になるそけいヘルニアの原因や症状などをご紹介します。
男性の3人に1人は一生涯で一度は発症するそけいヘルニア(脱腸)
そけいヘルニアの病気にかかる患者さんは50歳以上が多く、そけいヘルニア全体の65%は50歳以上の方とされています。さらに50歳以上の方でも男性に多い病気であり、男性の3人に1人は一生涯で一度はそけいヘルニアを発症する可能性があります。
では、なぜそけいヘルニアは女性よりも男性の方が発症しやすいのでしょうか!?
その理由には、そけいヘルニアが発症する鼠径部(太ももの付け根)の中を通る鼠径管の大きさが男女で違うことがあげられます。男性は女性よりも鼠径管が太くなっており、鼠径管を通じて腹膜(内臓をつつむ袋)が押し出されやすくなっています。
押し出された腹膜の中を腸が出入りすることがそけいヘルニアですから、そのために、男性は女性にくらべてそけいヘルニアになりやすいわけです。
そけいヘルニア(脱腸)の初期症状は「太ももの付け根の膨らみ」
そけいヘルニアの初期症状は、鼠径部に出るポコッとした膨らみ。初期症状としては、この膨らみにより違和感を感じる患者さんが多いです。
膨らみは立ち上がったり、何かを持ち上げたりしたときなどでお腹に力が加わったときに出やすい傾向にあります。ただし、手で押したり、姿勢を横にしたりすると、膨らみは引っ込んでしまうことが多く、不安を感じながらも、放置している患者さんが少なくありません。
姿勢などにより症状が変化する点はそけいヘルニアの症状の特徴の一つと言えます。膨らみの大きさは人それぞれで、ピンポン球や鶏卵くらいに感じることもあります。
その後、症状が進行すると鼠径部の違和感や不快感が強くなり、場合によっては痛みを生じることがあります。この状態をさらに放置すると、膨らみを手で押しても引っ込まず常態的に違和感を覚えるようになります。また痛みも強くなり、日常生活に支障をきたすようになります。
さらに病態が進行すると、嵌頓(かんとん)の危険性が高まります。嵌頓とは鼠径部に飛び出た腸が筋肉でしめつけられ戻らなくなった状態を指します。腸閉塞や腹膜炎などを起こしやすく、非常に危険な状態です。
ここまでくると緊急手術が必要になり、対応が遅れると命に危険が及びます。
チェックシートでそけいヘルニアの可能性をチェック
Gi外科クリニックでは、そけいヘルニアの早期診断・早期治療を推奨しており、その一環として鼠径ヘルニアチェックシートを作成しています。
【鼠径ヘルニア チェックシート】
☑ 足の付け根に柔らかい膨らみが出てくる
(男性の場合は陰のうに症状が出る場合も)
☑ 手で押し込んだり、横になると消えてしまう
☑ なんとなく下腹部に違和感や不快感がある
☑ 下腹部にときどき刺し込むような痛みがある
☑ お腹が張っているような感じがする
この症状が=そけいヘルニアとは断定できませんが、チェックが多く付けば付くほど、可能性は高くなります。鼠径ヘルニアは放置しておくと危険な病気です。
鼠径ヘルニアが気になる方は、ぜひチェックしてみてください。