治療について
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日帰り手術出来る場合と入院になる場合とは何が違うの?
手術=入院という考え方がまだまだ一般的です。
しかし、手術の方法・麻酔法・お薬の進歩により、病気によっては日帰り手術が可能となってきています。
日帰り手術が可能な疾患でも、場合によっては入院が必要となるケースも、まれに存在します。
例えば、以前より重度の心臓疾患や糖尿病がある方で、- 手術した直後の状態が不安定な場合
- 痛み止めでもコントロールできない痛みがある場合
このような場合は、入院をお勧めすることもあります。
当院では、提携病院への1泊入院が可能です。当院で手術後、提携先の病院へご1泊いただけます。まずは受診時に、日帰り手術が可能かどうか、診察と検査でお体の状態をチェックしてから決定しますので、無理矢理日帰り手術を行うことはありません。
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日帰り手術が不安…。本当に大丈夫?
当院では平均して毎日2名~3名の患者さんが日帰り手術を受け、その日のうちに帰宅されています。
80歳以上のご高齢の方も多く、術後はご自身の足で歩いて帰宅されています。(※麻酔明けなので、ご自身でのお車の運転は禁止です。)
ご帰宅後も24時間医師と連絡が取れる態勢をとっていますので、体調などの相談ができます。傷口は防水シートで密閉していますので、術後1週間後の診察まで、ご自分で何か処置する必要もありません。
防水シートは予備をお渡ししますので、万が一、はがれそうなど不安な際には上から貼っていただいて大丈夫です。何か心配な際にはクリニックにお電話でご相談ください。【クリニック電話対応】
診療日の朝9:00~夕方18:00
お昼休憩時間もスタッフが交替で電話対応しております。
(術後の24時間対応の連絡先は、手術を受けられた患者さんに直接お伝えしています)
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脱腸の手術をするには全身麻酔、下半身麻酔、局所麻酔でする病院があると聞きましたが何の違い?
日帰り手術か、従来の入院手術かによって異なります。
- 昔から行われてきた入院を伴う手術では下半身麻酔(腰椎麻酔と言います)が一般的です。この麻酔の場合、術翌日まで排尿や歩行の面で不自由が続くことが多く、日帰りは難しくなります。
- 日帰り手術を提供する施設では、全身麻酔(静脈麻酔)と局所麻酔を併用しています。
当院では、クリニックとしては日本で初めて腹腔鏡下ヘルニア根治術を日帰りで提供しています。よって当院でも麻酔は全身麻酔を必ず使用し、局所麻酔を併用します。手術は全身麻酔で、痛みを感じることなく眠っている間に終わります。
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脱腸の手術の際に全身麻酔をすると聞いたのですが、途中で切れたりしませんか?また、手術が終わったら本当に目が覚めるか心配です。
事前に患者さんの体の状態しっかり検査し、アレルギーや持病も考慮したうえで、それぞれのお体に合う麻酔を使用します。
麻酔は、手術の間は常に投与し続けるため、途中で切れることはありません。
また、手術が終わってから麻酔を止めますが、麻酔は時間とともに体外に排出されるので、自然に目覚めます。
全身麻酔は下記の流れで行いますので、不安な方はご一読ください。- 麻酔を開始します。
眠る麻酔(静脈麻酔)と痛みを取る麻酔(膨潤麻酔)の2種類の麻酔を投与します。
麻酔を投与した後は、すぐに眠り、痛みを感じなくなります。 - 麻酔が効いていることを確認した後、手術を開始します。
麻酔は、手術の間は常に投与し続けるため、途中で切れることはありません。
また、スタッフが常に傍についており、患者さんのお身体に異変がないか常時チェックしています。 - 手術が終了したら、麻酔も止めます。そうすると、麻酔は時間とともに体外に排出されるので、自然に目覚めます。
- 回復室でしばらく安静にした後、飲水確認を行います。
- 帰宅。
歩いて帰宅できます。痛みを取る麻酔は、手術が終わってから、だんだんと効果が薄れていきますので、ご帰宅後は、必ず痛みどめのお薬や坐薬を使用してください。
※尿道カテーテルは使用しません。手術前後、ご自身で排尿可能です。
- 麻酔を開始します。
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腹腔鏡手術は内臓を傷つけることがあると聞きましたが…
術式にはいくつか種類があります。鼠径(そけい)ヘルニアの治療で行われる腹腔鏡手術には、TAPP(タップ)法という「腹腔内到達法」と、TEP(テップ)法という「腹膜外到達法」があります。
TAPP法は腹膜(内臓が入っている袋)の中に、器具を入れて行う手術です。対してTEP法は、その腹膜の外側に器具を入れて行います。
腹膜の外側なので、内臓に触れることはなく傷をつけることもありません。当院はこのTEP法を取り入れており、TEP法をさらに進化させ、傷口がおへその1か所だけで済むSILS-TEP法を採用しています。内臓が傷つかないだけでなく、患者さんの体に一番「低侵襲(低ダメージ)」だと言われいます。
※鼠径ヘルニア治療を行なっている医療機関それぞれで、使用しているメッシュの違いや、患者さんの状態により方法は様々です。症状に合わせ、最適な方法で行なっています。
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鼠径(そけい)ヘルニアの手術の際に尿の管(尿道カテーテル)を入れたり、剃毛をしたりしますか?
鼠径ヘルニアの手術は、短時間で終わりますので尿の管(尿道カテーテル)は入れません。
手術の前後にご自身で排尿できます。
また、剃毛についてですが、基本的には剃る必要はありません。 術式変更で鼠径部を切開する必要がある場合は、剃る必要があります。
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手術を受けると3、4日の入院、退院後1か月安静と聞きました。術後どの位の日数で社会復帰できますか?
以前は入院が必要と考えられ、数日間入院してきました。また昔の術式では、腸が出ているすきまを縫い縮めるため、術後すぐに無理をすると再発をおこすことがありました。そのため、退院後は安静にする必要がありました。
しかし、当院の治療は入院の必要がない、日帰り手術です。また、腸が出ているすきまを人工のメッシュ(あみ)を使い補強しますので、退院後の安静は必要ありません。
個人差はありますが、翌日あるいは翌々日から職場や学校に復帰できます。(術後経過には個人差もあり、社会復帰の時期が遅れることもあります)
一般的に退院直後は激しい運動は控えていただきます。ゴルフや長時間のウォーキングなど、激しい運動は手術後2週間くらいから身体の調子に合わせて始めてください。
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日常生活で痛みを感じなくなるまでに何日位かかる?
痛みには個人差があります。当院が提供する単孔式腹腔鏡下ヘルニア根治術は、傷がおへその中の約2cm程度ですみます。腹腔鏡で行うため体への負担は少ないといわれています。そのため術後は、痛み止めを適量使用するのみで、ほとんどの患者さんが当日から痛みをコントロールできています。
痛み止めは、飲み薬や坐薬など複数お渡ししますので、痛みの強さに合わせて使用できます。
個人差がありますが「当日から痛みが少なかった」という人、「1週間ほど動くと痛かった」という人など様々です。「痛みがなかった」という人は痛みを感じる前に、早めに薬を使用していたそうです。きちんと薬を使うことが重要です。
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手術はかなり痛いと聞きました。入院しないと治療出来ない?
手術は全身麻酔で行いますので、眠っている間に終わります。所要時間も1時間程度です。手術の傷は小さい傷1箇所ではありますが、やはり切開し、操作を行いますので術後の痛みがゼロとは言えません。しかし、術式や器具、薬剤が進化し体への負担は大きく減少しています。そのため、日帰りが可能となってきました。(疾患にもよりますが、アメリカでは全手術の約7割が日帰りとなっています。)当院では、すでに1,000人以上が日帰りで受けています。
術後の痛みは痛み止めのお薬や坐薬を処方しますので、患者さん自身でコントロールでき、自宅で休養できるため心身ともにリラックスできます。
当院の調べによると「術後に痛みがあった」という患者さんの多くは、「あまり薬は飲まない方が良い」と自己判断し薬を飲んでいませんでした。逆に「痛くなりそうだから」と、早めに薬を飲んだ方は痛みを気にせず過ごせたそうです。
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術後どの位、力仕事出来ないの??運動はいつからしていいの?
個人差はありますが、翌日あるいは翌々日から職場や学校に復帰できます。日常生活は当日からほぼ可能です。
一般的に手術直後は激しい運動は控えていただきます。普通の運動やゴルフ、ジムでのトレーニング程度は術後2週間ほどから開始してください。
力仕事は、仕事の強度に個人差があり一概には言えませんが、痛みと相談しながら徐々に強度を上げていきましょう。いずれにしましても、個人差はありますので、体の調子に合わせて無理せず始めましょう。
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日帰り手術で出来るとありましたが切開して縫った後などほっといて大丈夫なの?
清潔操作(きれいな状態での治療)で行った切開創(傷口)は48時間で皮膚のバリアー機能が形成されるというデーターがあります。当院の手術では抜糸が必要ない糸で縫い合わせ、すぐ清潔な状態で滅菌防水シートによって閉鎖(密閉)します。
次回受診日まで、シートによる閉鎖で問題ありません。翌日からシートを貼ったまま入浴もできます。ただし、痒みが強い場合などは、術後4日目にシートは剥がしていただいても大丈夫です。
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手術費用はどの位かかるの?保険の手術給付金など受けられるの?
治療スタイルとして、入院手術と日帰り手術に分けられ、どちらも保険診療です。入院手術では食事代、ベッド代が入院日数分上乗せされますが日帰りではそれらの追加費用が必要無い分、医療費が少なくすみます。
また、患者さんの年齢により治療費の設定が異なります。 ●70歳未満の方は高額療養費制度を利用すると自己負担額が軽減される場合があります。(収入により違います。)
●70歳以上の方は高齢受給者証をお持ちですので、
○3割負担の方は高額療養費制度に応じた金額となります。
○1・2割負担の方は日帰り手術で18,000円。(入院手術は44,400円+食事代+ベッド代。)
※当院は日帰り手術を提供しています。
※別途、自費分5,000円程度かかります。
日帰り手術は医療費の面でも負担の少ない医療と言えます。
また、保険に関しては、保険会社、保険の種類によって給付金が異なっていますので、事前に加入されている各保険会社にお問い合わせください。証明書・診断書は当院で作成いたします。
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鼠径(そけい)ヘルニアの手術後しばらく経って、反対側に鼠径ヘルニアが出ました。再発したのでしょうか?
いいえ、再発ではありません。新たに鼠径ヘルニアが発症しています。
鼠径ヘルニアの手術後しばらくして、反対側に鼠径ヘルニアが出ることを「対側(たいそく)発症」といいます。
鼠径ヘルニアは足の付け根の筋肉の膜が弱ることが原因で起こる病気です。
人間の体は左右対称なので、例えば左側が鼠径ヘルニアになった方は、右側もなりやすいと言えます。
当院で手術した方の約15%が反対側も発症しています。
対側発症された場合も手術が必要です。放っておくと飛び出した腸が元に戻らなくなり、腸への血流が止まる場合があります。
そうなると1か月の入院が必要ですので、お早目にご来院下さい。