よくあるご質問

病気について

この症状、鼠径(そけい)ヘルニアでしょうか?よく分からないのに、受診しても良いの?

  • 足の付け根に柔らかいふくらみが出てくる(男性の場合は陰のうに症状が出る場合も)
  • 手で押し込んだり、横になると消えてしまう
  • なんとなく下腹部に違和感や不快感がある
  • 下腹部にときどき刺し込むような痛みがある
  • お腹が張っているような感じがする

上記の症状に一つでも心当たりのある場合、鼠径ヘルニアの可能性があります。「自分ではハッキリ分からない…」という患者さんも多くご相談いただいています。
自己判断はせず、遠慮なく受診してください。
当院ではエコー(超音波)を使用し、患部の状態をしっかり診察します。これまでに3,000人を超える様々な症状を診察・治療しています。


ヘルニアって腰痛ですよね?腰痛以外のヘルニアもあるのですか?

たくさんあります。本来出ないものが出ることを全て○○ヘルニアといいます。腰のヘルニアは椎間板ヘルニア、でべそは臍ヘルニアと言います。
「脱腸」も正式名は「鼠径(そけい)ヘルニア」。鼠径部(太ももの付け根)の皮膚の下に腸などが飛び出してきます。65%以上が50歳以上の成人に発症。飛び出した腸が戻らなくなると腸管が壊死(腐る)し命に関わることも…。
鼠径部の膨らみが簡単に引っ込む早期のうちに専門医を受診することが大切です。


脱腸は大きくなってから手術をすればいいと聞きますが、どのくらい大きくなると手術が必要ですか?

この病気は、お腹の壁に穴(筋肉と筋肉のスキマ)が開き、そこから腸が飛び出してくる病気です。残念ながら手術でしか治せません。しかし、がんなど悪性疾患のように初期や末期といった病期(ステージ)はありません。
脱腸で一番危険な状態を嵌頓(かんとん)と言います。これは、飛び出した腸が戻らなくなることを言います。嵌頓になってしまうと最悪、飛び出した腸が腐り(壊死)腹膜炎に至ることもあります。こうなると、命の危険にさらされます。そのため手術が必須となります。
この嵌頓が起こる危険性は、飛び出す腸のサイズには関係ありません。穴のサイズが小さいと飛び出した腸が戻りにくく、嵌頓の危険が高いともいわれています。
太ももの付け根に少しでも違和感や膨らみを感じれば、早めにご相談いただければと思います。当院では日帰りで根治できます。


鼠径(そけい)ヘルニアは予防できますか?筋トレで治りますか?またなりやすい人、なりにくい人はいますか?

成人の鼠径ヘルニアは、加齢により内臓を支える腹壁(筋肉や筋膜)が衰えることが大きな原因です。加齢が原因であるため誰にでも起こりうる病気で、有効な予防方法がありません。
筋トレが有効か?とよく質問されますが、腸が飛び出してくるためのは筋肉と筋肉のすきまであり、筋肉をきたえても、このすきまがふさがる訳ではありません。つまり予防とはなりません。
加齢以外の原因では、腹圧(お腹への力や内臓の重さ)がかかることが一因ともいわれています。そのため職業や日常の生活行動によっても、注意が必要なケースがあります。
職業では、力を入れる仕事や、重いものを持ち上げたり運んだりする仕事です。立ち仕事でも、鼠径部に常に腹圧がかかるため、同様のリスクがあります。
日常生活面では、便秘気味でトイレでいきむことが多い方も要注意。また、肥満、妊娠中の方も、腹圧がかかりやすいので注意が必要とされています。


脱腸は子供の病気じゃないのですか?大人でも脱腸になりますか?

小児の鼠径(そけい)ヘルニア(脱腸)は小児外科で最も多い病気です。そのため、脱腸が小児の病気というイメージを持つ方が多くいらっしゃいます。
しかし、鼠径ヘルニアの全手術症例の64.8%が50歳以上の成人の方です。成人(大人)の脱腸の方が多いことが分かります。
また、小児と成人の鼠径ヘルニアは原因が全く違います。小児の場合は、ほとんどが先天的なもの(生まれつきのもの)が要因ですが、成人の場合は、加齢とともにお腹の壁の組織が弱くなることが主な要因です。
治療は小児も成人も症状が重くなる前に手術を受けることが重要です。しかし、原因が違うため少し治療法が異なります。小児の場合は痛みが無いときは、経過を診て自然治癒を待つ場合もあります。一方、成人の鼠径ヘルニアは自然に治ることは決してないため、手術による治療が必須となります。


足の付け根辺りがポッコリ膨み違和感があります。たまに痛みがある程度なので放置しておいて大丈夫?

その症状、『鼠径(そけい)ヘルニア』の可能性があります。足の付け根付近を『鼠径(そけい)部』といいます。膨らみの正体は多くは『腸』です。そのため『脱腸』とも呼ばれています。
この病気は、おなかの壁の弱くなった部分から腸などの内臓が皮下皮膚の下に飛び出します。
痛みや吐き気、違和感という症状が出始めると、危険信号です。
放置し続けると飛び出してきた腸が戻らなくなる事があります。この状態を『嵌頓(かんとん)』と言い、腸への血流が途絶え手遅れになると腸が壊死(腐り)し、命に関わることもあります。
『鼠径ヘルニア』自体は良性の病気ですが、治療は手術しかありません。
痛みも無く、横になると引っ込む段階のうちに、早めに専門医を受診し治療を受けてください。


鼠径(そけい)ヘルニアですが病院に行ってません。痛みもありません。実害ないですよね?

痛みも無く、横になると引っ込む程度の膨らみの場合は、重大な症状を引き起こす事は稀です。しかし、放置している間に進行し、脱出した腸管が戻らなくなることがあります。この状態を嵌頓(かんとん)といいます。そうなると腸管が壊死し(腐り)、命に関わる状態になることがあります。いつ嵌頓が起こるか予想するのは困難で、「ふくらみが小さい」「痛みがない」という方でも、ある日突然嵌頓するケースもあります。
鼠径ヘルニアは自然治癒やお薬での治療は不可能です。完全治癒には手術しか方法がありません。 痛くないから、良性だから、と放置せず、専門医による正しい診断と適切な治療を受けることが大切です。


抗凝固剤・抗血小板薬は休薬せずに手術可能ですか?

当院では、術中止血に最善の注意を払うため、抗凝固剤・抗血小板薬は休薬せずに手術可能です。抗凝固剤・抗血小板薬は止血困難にするため、大きい手術では内服薬を休薬し、術前に2週間ほど入院し別の点滴薬に切り替えて手術に臨む場合があります。当院ではそもそも出血が少ない手術に加え、術中止血操作を徹底することで内服薬の休薬せず手術に臨みます。