専門医が答える鼠径(そけい)ヘルニアQ&A

鼠径ヘルニア(脱腸)について教えて下さい。
赤ちゃんの時に左側の鼠径部に症状が出て、小学6年生の時の鼠径部に症状が出ました。
小学生の時の記憶しかありませんが(現在21歳) 、いきんだり踏ん張ったりしたら、同じところ(鼠径部)に同じ大きさのヘルニアが出ます。痛みはありません。
踏ん張るのをやめれば引っ込むのですが、再度手術をする必要がありますか?
同じところに同じ大きさのヘルニアが出ることはありますか?

鼠径ヘルニア(脱腸)は、小児期と成人になってから(主に中高年の方)に多い病気です。
病名は同じですが、発症機序(原因)は少し違ってます。
小児期の鼠径ヘルニアは先天性(生まれつき)の場合が多く、成人の場合は腹壁(お腹の壁・筋肉)が弱くなることが原因の場合が多い病気です。
そのため、小児期に治療をしても成人になってから再び鼠径ヘルニアになることは十分考えられます。
また、幼児の鼠径ヘルニアは自然に治癒することもありますが、成人になってからの鼠径ヘルニアは手術でしか根治できません。
放置しておくと嵌頓(かんとん)という命に係わる状態に陥ることがある病気です。
※嵌頓:飛び出した腸が戻らなくなり、腸への血流が途絶え、最終的には腸が腐ってしまい、腹膜炎に至る可能性が高い状態です。

是非早めに外科を受診していただければと思います。